愛

リップヴァンウィンクルの花嫁の愛のネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

やや異常なストーリー(実話ではあるものの)やキャラクターが誤魔化される美化されるほどのカメラワーク音楽キャストの存在感、これが岩井監督世界観なのかと思った。
虚構のようだけど現実味のある話。

前半の黒木華の平凡な生活人に流されやすい生活、ぶち壊れるんだろうな壊されないかな、と思って見ていたが、外的要因半分自業自得のように描かれていて、そうきたかと思った。綾野剛が今の生活から離れたいと強く願うからそうなると言っていたが、黒木華が気が付いていないだけでそうだったのかもしれない。終始綾野剛の仕事は胡散臭いし明らかに彼女を利用しているように見えたが、ある意味救っていたのかもしれない。しかし結局彼女を殺すつもりでいたのに殺人者としてはどうも見えないのが不思議。

Coccoが出てきてからはストーリー展開や描写の仕方が一変するようだった。2人の主役のもと大きな屋敷で2人だけの世界があって、これからもずっと続きそうだった。直接解釈すれば、リップヴァンウィンクルはCoccoでその花嫁は黒木華ということになる。しかしウエディングドレスを着て2人で幸せそうに時間を過ごすシーンから両者がお互いにとっての花嫁で、結婚式という人生で一番幸せな時間を最愛の人と過ごす素敵な瞬間だと思った。

この映画で描かれる家族や恋人の定義は常に変化しているようだった。血が繋がっているのに家族として受け入れなかったり、他人であるのに家族のふりをしたり、信頼しあったり。
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