いずぼぺ

劔岳 点の記のいずぼぺのレビュー・感想・評価

劔岳 点の記(2008年製作の映画)
3.7
とにかく映像が美しい。
劔岳の美しく厳しい雄姿を鮮やかに映し出す。

私は地図が好きだ。地図を観ていると、実際に見ている時にはわからない情報が見えることもある。なにより俯瞰である。人間にはなかった視点。

父が測量の資格を持っていて、こどもの頃から地図は身近だった。今もたまに実家に帰ると一緒に見ることがある。測量の実習で山に分け入った時の話も好きだ。だから、山で測量のポイントを見つけるとうれしくなる。そんなことを思いだしながら本作を観ていた。
今でこそ測量も衛星画像やその他の最新技術で精度を増しているが、前人未到の地や山岳信仰のお山で人を拒むような地の地図が明治期に自らの脚をもって測量された方がたに敬意を表さずにいられない。

数年前に大峰山系を歩いていたとき、行者様がすんごいスピードでぐんぐん歩いて行かれるところをお見かけした。あっという間に少しガスが出始めた道に消えて行かれた。あまりのスピードに私はただ口をポカンと開けて見送った。

エンドロールの「仲間たち」にグッときた。

市川中車さんの腰の据わった動きと演技が素晴らしかった。

281-88