緑

濡れた壷の緑のネタバレレビュー・内容・結末

濡れた壷(1976年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

そして谷ナオミしかいなくなったという話。

働かず競馬しかしない10年前から不能の父親、
娘の旦那と駆け落ちして1年で
いけしゃあしゃあと戻ってきて
金の無心をする母親、
東大目指して浪人中だけど
勉強している気配のない弟を
バーのママとして働いて養う谷ナオミ。
バーといってもゴールデン街なので
大儲けはしていないだろう。
バーの上が谷ナオミ家族の居住区域。

東大を受験した当日に
幼馴染と自室で致す弟。
正常位ではずっとカメラのほうに
顔を傾けていて色気もなにもないシーン。
対位変更で騎乗位を申し出る彼女への
「かたじけない」がおもしろい。

バー従業員の女性ふたりはカップル。
店を閉めた後は風呂を借りて帰るシステムらしく、
ふたりで入浴して絡む。
その後、谷ナオミが入浴。
ふたりが谷ナオミのために置いていった
ディルドで慰めるも、
我に返って窓からディルドをポイー。
酔って道ゆく若いネーチャンに絡んで
帽子を持って行かれて
座り込んで寝ていた田中小実昌が
ディルドを拾って口にする。
話には直接絡んでこないが、
バーの客程度の出番だと思っていたので、
十二分にインパクトある田中小実昌に満足。

戻ってきた母親は勝手に店に出ておきながら
給料を前借りさせろと谷ナオミに詰め寄る。
母親も母親だが渡す谷ナオミも大概。
「金瓶梅」ポスターの前で
ナンパしてきた男とホテルで一発な母親。
望遠からゆっくりズーム。
厚化粧が見苦しい。
物干し場で男を楽しませていないと
娘に説教していた母親だが、
ナンパ男に金を取られそうになり、
そのときの遣り取りと鏡に映った自分の顔で
女としての価値の暴落を知り涙。
しかし娘の旦那と元鞘で幸せそうに退場。

父親がマネキン屋を営む店の客から
した借金を返済しに出向いたところ、
ぐだぐだと訳わからんことを宣いながら
マネキンの股間を舐める客を前に
「夕立」を降らせる谷ナオミ。
大量のマネキンに囲まれて、
マネキンの手で愛撫されるもそこまででお預け。

自分を慕う男子に面倒みてもらいながら
改めて東大を目指すと家を出る弟。
姉に金をせびることなく退場。

父親、軍隊の同期たちと紋付袴で集まって
靖国参拝のあと飲み屋で軍歌合唱。
テンションぶち上がり状態で夜道を歩き、
チャリで通りすがった女学生をレイプ。
その場でお縄。

後日、開店前だか休みの日だかに
店を訪れたマネキン屋にやられて
また「夕立」を降らせる谷ナオミ。
そこにやってくる谷ナオミといい仲らしき客。
マネキン屋は合意の上ではないことを告げ、
いい仲らしき客に殴られ退場。

父親、脱不能からの刑務所イン。
正気を失い頭と心が軍人に戻って退場。
接見帰りに刑務所の塀に大量のやくざたち。
ポルノ映画館に入ってきた女性客を見る以上の
やくざたちの視線に足取りがあやしくなる谷ナオミ。
公衆電話で「夕立」が降ってきたことを告げ、
相手に会いたがる谷ナオミ。

まともな人間がいい仲っぽかった客のみで、
他はみんなどうかしていて楽しかった。
谷ナオミのかわいさと色気も堪能。
無駄を削ぎに削いだ構成も良かった。

しかし、映画館でつついてくる客や
頭のすぐ後ろまで顔を近付けてきていた
鼻息うるさい客がいて、
集中が途切れたのは心底大迷惑だった。
緑