あそびます

裸足の季節のあそびますのネタバレレビュー・内容・結末

裸足の季節(2015年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

「ファック、ファック、ファック」。
セルマの遺言。歯を見せて笑う権利を行使した後、あと一つだけ残った権利、尊厳死の行使を選んだ。

燃えるような怒りに満ちていた。
予告編だけ見てるとまあヴァージンスーサイズなんだけど、あっちは70年代ミシガンの郊外に暮らす少女たちのけだるいメランコリーという感じなのに対して、こっちは現代トルコの田舎に暮らす少女たちの絶望と怒りが壮絶に描かれている。全然別物。

この地での女の一生は全員同じルート。生産、養殖、殺菌、矯正、検品、品評会、納品。逸脱したり不良品と見なされると処分される。ああ、人間じゃないんだなー、の一言。

処分の例えが比喩なら良いけど、どういうわけかガチ殺人も情状酌量されるのね、名誉の名のもとなら。名誉って誰の?なんてのは聞くまでもない。
少女の姿や行動を何でもかんでも性にこじつけて一方的に罰して何が名誉だよ。

しかも無事処分を免れた商品も、夫の存命中は夫に従い、夫が死んだら息子に従う。新たに生産された商品の養殖が不調だと全責任を擦り付けられる。それなのにどう努力しても男には必ず劣るという結論ありき。妻たちは互いの生存のために、商品に傷がつかないよう協力し合う。
ところが傷物にする張本人が家の中に居るんだから無理ゲーだ!あのなにかっつーと銃鳴らしまくるのはなんだ!射精表現か!!殺せ!もう殺せーーー!!!!

失礼、取り乱しました。
原題は「MUSTUNG(野生の馬)」。
少女たちは、自然の中のびのびとじゃれ合った結果、罰を受け自由を奪われた。ウォータンクを得たラーレが走り出す時、心からハッピーエンドを望んだ。
この結末がハッピーエンドと言えるのか分からないけど、二人には確かに可能性が残されている。そして忘れてはいけないのは、幸せな結婚をした孫も居るし、最後に二人のフューリーロードを手助けしてくれるのは男性なんだ。希望はある。

昔気ままな独身男を野生の馬に例えたハリウッド娯楽映画があった気がするけど(なんだっけ)、まあ妻ができると飼い慣らされて自由を失うという意味だろう。
この認識の落差にはため息が出る。

いざという時のババアの機動力すごい...
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