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裸足の季節のzunzunのレビュー・感想・評価

裸足の季節(2015年製作の映画)
3.9
ソフィア・コッポラー「ヴァージンスリーサイズ』のトルコ版と言われている作品。確かに美しい5人姉妹の思春期特有の瑞々しい輝きや残酷さが描かれている点で共通するところが多い。
でも、今現代でも続く悪しき因習に、幼気な少女が懸命に反抗すると言った点では『少女は自転車にのって』の方が近いように感じた。
勿論、未だに石打ちの刑があるサウジアラビアとトルコとでは状況に雲泥の差がある。それでも西欧により近いトルコの地方でも、こんな因習が残っているのかと驚かせれる。
家庭内監禁・初夜を家族でチェック・処女膜検査って……吃驚!
家父長制による叔父のメンツを保つだけの権力主義的態度は、分かりやすく悪役として受け取れる。しかも影でいろいろこそこそやってる。
難しいのが、因習に縛られそれを押し付けるしか選択肢がない祖母。姉妹の幸せを願えばこその行動なのだが、一筋縄に行かない。世代が違うと言え、祖母はこの因習のもとで生き、哀しみを感じずに幸せだったのだろうか? 無為な疑問を抱いてしまった…

どんな悪しき因習があろうとも、思春期の躍動や性の衝動は抑え込めない。
所々で姉妹たちの会話や行動にギョッとさせられたが、体制(因習)へ抗う若者の姿は万国共通の気がした。

ウェディングドレス姿の涙が、因習の犠牲による悲しみの象徴のように思え印象的だった。


タリバンこそ出てこないが、この作品のラストを考えると、ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイが言うように、悪しき因習を打破するには教育が不可欠なのかと、ものすごく穿った見方をしてしまった。
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