ー抑圧されるジェンダー(女)への抵抗を、まばゆく描くー
そのまま存在するだけで眩いという少女の時間は短い。
もぎたてのレモンのような瑞々しさは儚く、良くも悪くも、女性というジェンダーは、それを長く保ち続けることを許さない。
トルコで両親を亡くした5人姉妹。
宗教的な観念から、女性は結婚することが全てで、結婚までは純潔で清らかである女性という性を強いられる。
それに反して、奔放に生きたがる彼女たちの抵抗と絶望を、美しい少女像で描いた作品。
新鋭の女性監督らしく、映像全てがフレッシュでありながらしっとりとした場面もバランスよく、全体的に美しい。
この作品は、女性監督が作ったという点に大きな意味のある傑作である。この作品の社会的なメッセージを受け取らざるを得ない。
美しいトルコ美人姉妹の、ゆるやかな髪の毛のウェーブが風にゆれるたびに、その眩いジェンダーが愛おしい。
それを抑圧するかのごとく、周りの大人たちが彼女たちに押し付ける固定化されたジェンダー像。
典型的な欧米文化風習とは異なる、なんとなく中東とヨーロッパの中間のようなトルコという国の、複雑なお国柄が垣間見れて、とても興味深かった。
日本で暮らす私たちからみると、強烈な不快感に苛まれるが、国の文化というものはまちまちであり、一概に否定はできない。否定はしないが、受け入れがたいというのが本音だろう。
ただただ、彼女たちが閉じ込められた籠のなかから羽ばたける世界がくることを切望してしまう。
美しくも力強い傑作。