たく

裸足の季節のたくのレビュー・感想・評価

裸足の季節(2015年製作の映画)
4.0
コロナ禍で外出自粛の情勢の中、外出禁止を食らうトルコの5人姉妹の話を観てみたんだけど、すごく良かった!

結婚において絶対的な処女性を求められる古い慣習が残るトルコで、学校帰りに男子と海岸で肩車遊びをしていただけの姉妹がおせっかい婆さんに通報され、異性交遊禁止のため自宅に軟禁される理不尽な展開。
早くに両親を亡くして祖母が育ててるらしくて、冒頭でこの祖母のお仕置きがめちゃくちゃ厳しくて引くんだけど、どうやら本当のラスボスは叔父らしいと分かってくる。

「エコール」を思わせる天使みたいな少女たちの美しい戯れに惹きつけられて、末っ子のラーレの醒めた視点で進んでいく後半が脱獄モノになっていくのがスリリングだった。
お見合いのシーンで本人を代理して親だけで合意しちゃう強引さは昔の日本もそうだったし笑えない。女性は親が選んだ相手と結婚して家庭に入るのが当たり前で自己主張は許されないっていう古い価値観は、最近のインド映画に良く出てくるね。

姉が処女性を守るためにこんな方法で切り抜けてるって妹たちにこっそり打ち明けるシーンがあるんだけど、これが後半のゾッとする糞展開の伏線になってて、言葉ではっきり説明しないのが良かった。
あと、限りなくお人好しのトラック運転手と冒頭で転任する先生の出し方が上手かったね。

邦題は軟禁生活の中で裸足で暮らしてるラーレが脱出のときに自らの意志で靴下を履くシーンから来てるのかな。原題の"mustang"を調べると「迷子になった、あるいは主人のいない家畜を意味する」とのことで、本作の内容にしっくりくる。
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