Solo1968

ディスカヴァーデイルのSolo1968のレビュー・感想・評価

ディスカヴァーデイル(2012年製作の映画)
3.3
 暇つぶしで、何となく観たら個人的には大好物の素敵な作品で嬉しさ冷めやらぬ中のレヴュー。

 ダブリンに実在するロックコメディートリオの風変わりなロードムービー。もちろんコメディー。

 ハードロック界の重鎮、ディープパープルを経てホワイトスネイクを結成し四十年近く現役で活躍するロックスターデビッドカヴァーデル。

 物語は唐突にバンドの解散からヴォーカル兼ギターのジミーが、自分の父はあのデビカバに違いない!と言い出して、ワールドツアーでイギリス周辺をツアーで回るホワイトスネイクを訪ねて 何十年ぶりの再会を果たすところを記録して作品にする!?という無謀な計画を立てる。解散したばんどだが、その話を聞き、文無しの三人はストリート演奏で小銭を稼ぎつつ、安宿に泊まり、ライヴ会場潜入計画(←これまたあり得ないほどまぬけな計画)を立てては、ことごとく失敗を繰り返し、それでも電車や船に乗り、感動の再会シーンのために ドタバタの追っかけを続ける。

 本作のもつ ほっこり感で似た作品として挙げられるのは
◎ファンポーイズ←スターウォーズマニアが公開前の新作を見るためにルーカスフィルムに潜入するというありえないコメディー。
←スターウォーズマニアにとってはたまらない作品
だったり
○ザ コミットメンツ
こちらもアイルランド ダブリンを舞台にした音楽青春映画だが、単なるサクセスストーリーとは一味も二味も違い、ソウルR&B愛溢れるほろ苦いイカした大好きな作品。
が挙げられる。


本作では 主人公が追いかけるのは これまた微妙なと言っては失礼だが、デビッドカヴァーデルなのである。ホワイトスネイクはそれはハードロック界では超大物ではあるが、メタリカやクイーンやKISSなど、誰もがその見た目や作品を知っているようなアーティストではなく、限られた音楽ファンにしか知られてはいないアーティストが題材というのも面白く、彼を知らないと全く楽しめないわけでもなく、それが架空のアーティストと思って観ても楽しめるとは思えるが、もちろん知っている人やファンにとっては大ネタ小ネタのオンパレードで、製作陣のデビカバ愛を感じる。またぼくは失礼ながらこの主役の三人組をまったく知らないが、本当にコメディーバンドが職業というだけあって、演奏はもちろん、演技においても役者さんと言ってもわからないほど質の高い演技で 楽しませてくれた。

 大声で変な顔や動きで笑いを取るのではなく、シュールな間の取り方と絡みは、ツボにはまった。
 
 特にドラム担当の方が良い味を出していて凄まじい。いや、ベースの彼も捨てがたい。

 絶対にあるはずのないような事を突拍子もない発想と行動力で転がり、見終えたらほっこりさせられる 久しぶりにそんな気持ちになった作品。
Solo1968

Solo1968