『ロングブランチ / ロングブランチの街角で』
原題 Long Branch
製作年2011年。上映時間14分。
長い夜の終着点は〜凍えるような冬の日に、幸せなぬくもりを〜。
今作品の監督の二人は実生活で夫婦。
2008年にカナダフィルムセンターで開催された脚本ラボで出会い意気投合、結ばれることとなった。
本作は夫婦として初の共同監督作品。
1カット目からキスシーンで始まるが決して派手な作品ではない。
男の家までの道中で、少しずつ静かに主人公二人の心が通っていく様が描かれている。
燃え上がるような勢いで始まった恋が落ち着き、だんだんと温まって愛へと育っていく。
それは監督のふたりにとっての理想の恋愛なのかもしれない。
夫婦監督は本作監督後も現在に至るまで映画やテレビドラマなどで活躍し、数々の国際映画祭にノミネートされている。
今作品のシナリオは、"オチのある "短編映画は善きコンセプトのように思える。
女子が一夜の恋を求めるが、その相手が公共交通機関で2時間かかるところに住んでいるため、複雑な心境になる。
しかし、この映画はそのユーモラスな前提を感動的に超越し、本物のロマンスを見つけるってな感じ。
真夏に真冬のお話し涼しく温かな矛盾した感覚に陥った。
BS松竹東急も中々粋なことシヨンなぁ。
真冬のクラブの外で、女と男が情熱的なキスをしている。
ちょっとダサい男(よくみたら男前)と一緒に帰ろうとする女の決意には怒りが感じられ、彼が遠くに住んでいると知っても、彼女は自分の計画に固執する。
二人は地下鉄の車内で情熱的なキスを続けるが、やがて欲望は気まずい退屈へと変わっていく。
そして。。。
BS松竹東急チャンネルで視聴。
まず地下鉄に乗り、次にバスに乗るカップルを追うと、そのぎこちなさが可笑しい。
しかし、野郎の方は女のことを本当に知りたがっており、表面的なコミュニケーション以外に対する彼女の抵抗は、彼女が隠している苦しみの一端を明らかにする。
絶えず鳴り続ける携帯電話に出ないのも、彼女が何から逃げようとしているのかを知る手がかりとなる。
二人は自転車に乗ってグレイの家に着く頃には、これが一夜限りの関係ではないことがわかる。
今作品は、よく練られた脚本と、ジェニー・レイヴンとアレックス・ハウスの好演に支えられている。
欲望とロマンスの微妙なバランス、そして理想的とは云えない生活環境に悩む若者たちの古くからのジレンマが、今作品に普遍的な魅力を与えている。
気に入ったんはカナダのトロントの街が映画で描かれてた。
トロントとして描かれるんを見る機会は滅多にないし、行くことももはやないだろう街。
トロントで撮影された映画はたくさんあるが、たいていはニューヨークかシカゴが舞台だ(街並みがニューヨークやシカゴに似ているという点からロケ地に)。
また、トロントの広大で過小評価されていると聞く交通システムをスクリーンで見ることができたのも良かった。
この2人が一夜を共に過ごすというほとんど滑稽な探求を単純に諦めない火花も感じた。
そして14分という映画は、芽生えつつある2人の関係の核心に迫るには十分な長さ。
短編映画という形式が、このデリケートなラブストーリーのための完璧な入れ物となった事例がここにあるかな。