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ブランカとギター弾きのyukacafeのレビュー・感想・評価

ブランカとギター弾き(2015年製作の映画)
4.0
大好きなクストリッツァ監督が認める才能と聞いて、公開をとても楽しみにしていたのだが、同じ日本人であることを誇りに思う素晴らしい作品だった。

監督自身がマニラのスモーキー・マウンテンを旅した経験から撮られたというだけあって、ストリートで暮らす人達の現実がとても丁寧に描かれている。どのキャラクターもとにかくリアルで魅力的なのは、監督が実際にストリートでスカウトしたというのも大きいのだろう。盲目のギター弾き、ピーターはその佇まいだけで人生を語るような存在感で、この人を作品に残したいという監督の熱量が伝わってくるようだった。ブランカはYouTubeで見出されたということだが、彼女が歌い出した瞬間の衝撃は未だに忘れられない。

同じくフィリピンを舞台にした"Die Beautiful"を少し前に観ていたので、ドラッグクイーンの登場するシーンにも注目して観たのだが、困っている人がいたら手を自然に差し伸べる温かさを持った、魅力的なキャラクターとして描かれていたのが嬉しかった。マイノリティへの優しさに満ちた感性で作品を撮る監督の次回作がとても楽しみだ。
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