YAMADA

ファニア歌いなさいのYAMADAのレビュー・感想・評価

ファニア歌いなさい(1980年製作の映画)
4.0



今まで戦争映画を観てた視点から変化があって、世界がコロナだから、自分にとってもリアルに生と死しかない世界をより近くに感じる。
だからこそ、とにかくファニアの強さや才能、運の強さを尊敬してしまう。
実話らしく、手記も読んでみたいと思った。

そして、食べ物を満足に与えられない状況の中で、一つ一つを匂い嗅いで、味わって…って食べていて
わたしも、感じる事へ最大限に集中させて日常を過ごせる人になりたいと思った。
たーお腹減ったー(無心に)ボリボリお菓子食べる…みたいな風になりつつあったもんな😅
味わい尽くしたい!!!


ファニアは、どんな状況ですら、対等に見ていたと思う。
だから人に慕われてたんだと思う。
あの状況で、凛と立っていられるのは本当にすごい事…
不安、恐怖、常に死が迫り、余裕のない世界、B舎よりはるかに良い環境なのに、それでも襲いかかって、皆んなは優しさや愛を見失って行く。
そりゃ、そうなると思う。
音楽をやっていたって、窓から見える光景と、常にBGMかのように叫び声や爆弾、発砲の音が聞こえる。
そして、いつ自分が殺されるのか…

ファニアは、自分が殺人者に媚を売ってるって思われ、どんなに自分が嫌われようと、嫉妬されようと、そんな皆んなを常に受け止めようとしてるファニアがすごいんだよ…普通の人じゃないわ、そりゃ。
自分も無い状況なのに、与えよう、与えよう、としてた。


とても良いなーと思ったのは
マンデルは綺麗だって言った事に対し
ユダヤ人を殺すドイツ人は殺人者。バケモノを綺麗と言わないで!ユダヤ人として誇りを持って!
って、言い争いになるシーン。
ファニアは、彼女を醜くしようとしないで!同じ人間!残念なのはあんな綺麗な人があんな事が出来るって事!彼女は綺麗よ!問題だと思わない?
って言い放てる事…ため息出るほど凄い人だと感じたわ。
心が悪魔の囁きに取り憑かれてないというか…うーん、言葉にするの難しいけど、普通に考えたら、されてる事だけをみたら、同じ人間とも思いたくないだろうし、いろんな感情湧くだろうけれど、ファニアは人間として見てるというか、そこに在ることを認めてると思うの。
その上で自分は何が出来るか?って生きてる。

同じ人間なのに、こんな状況になってて、この状況を問題だ!と思えない人は、戦争が終わっても、平和になっても、世代が変わっても、人種差別するんやて。
ドイツ人にこんなことされて来たんだから一生恨もう!みたいな人になっちゃうんよ。
もちろん、人間だからされた事に関して恨み辛み出てくると思うし、腹立っていいと思う。
ただ、望みはそこじゃないよね?って言う事なんよ。
そんなん続けてたら、永遠に平和なんて訪れないもの。
これが出来るのは只者ではないなってさ…なるよ。
ファニアも感情爆発してるシーンがあって、人間的だったから逆に安心した。

わたしが一番腹立ったのは、ミルクを捨てるシーンね。
わたしがもらったもよの?お前らお腹空いてんだろ?でもね、わたしがもらったものだからこぼしてもいいでしょ?って言う…ああ…クソ腹立った!!!!




この映画を見てて思うけど
この世の人間て、人種で分けられてるというよりは
芸術を感じられる人間と、感じられない人間とで分けられると思うんよな。
素晴らしいかどうか理解するのに、言葉いらんもんね。

ファニアのあの歌聞いて、あの表現を見て、なんも感じてない聞いてない言動をしてる時点で、後者じゃん?
ちなみに、わたしは後者とは会話が成り立ちません(笑)


───────────────
気になりワード


君の歌声は魂の慰めになる
我々の困難な仕事を強めてくれる


自分を嫌ってはダメ
ここではどんな感情も祝福だわ


509327
YAMADA

YAMADA