グラッデン

日本で一番悪い奴らのグラッデンのレビュー・感想・評価

日本で一番悪い奴ら(2016年製作の映画)
4.0
北海道県警の警察官となった主人公が、組織犯罪に手を染めていく実話にもとづく物語。

鑑賞後の印象を率直に申し上げると、日本版『ウルフ・オブ・ウォールストリート』といった印象を受けました(双方とも実話がベースになっていることに、改めて驚かされます)。

金融マンと公務員、ウォール街と地方、立ち位置は真逆に見えますが、自らの利益追及とモラルの境界線で苦悩する構図は、今年になって見た『ドリーム・ホーム』や『マネー・ショート』といった金融危機を背景とした作品にも通ずる部分でもあります。綾野剛さんの怪演技と言って良いと思いますが、何より作中のある行動で一線を越えた瞬間のカタルシスの説得力も抜群でした(それこそ、『ウルフ・オブ~』のディカプリオを思い出しました)。

また、本作で好感を持ったのは、冷静に考えると、普通にヤバい話でありながらも、シリアスにしすぎず、どこかバカっぽくて笑えるような絵に仕立ててきたところです。綾野さん演じる主人公のトンパチさだったり、ピエール瀧さんが見せる悪人ぶりだとか、キャストの方々の雰囲気も上手く作用してたと思いました。

プロモーションはともかく、作中の硬軟の使い分けがしっかりなされていたので、物語の持つ重みもじっくり感じましたし、作品に対する間口を広げた印象もあります。個人的には、もっとエログロを突き進んでほしかったという思いもあったのですが、アレをアレする場面や、かなり踏み込んだ描写も多く描いていただけに満足度は高かったです。

あと、ネタバレかもしれませんが、個人的にあれだけ性描写を描いているのに綾野さんの尻が見れなかったのが残念でした(変なこだわり)。