ハニルくん

SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁のハニルくんのレビュー・感想・評価

4.9
BBC制作のテレビドラマ『SHERLOCK』の特別編として劇場公開された。面白かった。ドラマは21世紀のイギリスが舞台だが、これは1895年を舞台にしており、現代のシャーロック・ホームズが、頭の中のDATAを探求することで、一種のトランス状態に入って1895年の未解決事件を推理していく、という設定になっている。麻薬によってその脳内が過去と現代に錯綜するというアイディアらしい。典型的なトリックではあるが、しかし、19世紀の女性解放運動が絡んでいるあたりが面白い。劇中では、有能で独立気質で謎の多いワトソンの妻がメアリーという名前だが、イギリスの代表的なフェミニズム作家メアリ・ウルストンクラフトに絡めているのかもしれない。フェミニズム運動の先駆ともいえる『女性の権利の擁護』を彼女が執筆したのは1792年であった。現代版のドラマよりもやっぱり19世紀のほうがしっくり来る。