ぶみ

デッドロックのぶみのレビュー・感想・評価

デッドロック(1970年製作の映画)
3.5
ローラント・クリック監督、マリオ・アドルフ、アンソニー・ドーソン、マルクヴァルト・ボーム、マーシャ・ラベン等の共演による西ドイツのクライム・アクションで伝説的カルト作品と評され、1970年製作ながら日本では51年の時を経て今般公開された作品。
閉鎖された鉱山「デッドロック」で、大金の入ったジュラルミンケースとともに行き倒れとなった謎の男と、彼を助けた鉱山の監督官等の姿を描く。
アメリカのどこかとされる荒野(実際のロケ地はイスラエルらしい)を舞台としているが、その荒涼とし砂舞い上がる乾いた砂漠、ポツンと立つ廃れた鉱山の街といういかにもアメリカな絵面は、それだけでテンションが上がるもの。
登場人物は主にアドルフ演じる監督官、ボーム演じる謎の男、ドーソン演じるベテランの殺し屋に加え、街にいる元娼婦の女と、口の聞けない彼女の娘の五人で、それに加え怪しげな行商人が登場するが、これがまあ見事に全員癖強め。
背景がほぼ語られないため、謎多き人物だらけだが、いずれも退廃的な雰囲気を醸し出しており、閉鎖された鉱山や砂漠といった設定も相まって、シュールさを携えた独特の世界観が紡ぎ出されている。
また、時に暴力的なまでに鳴り響くドイツのロックバンドCANの劇伴も印象的。
物語は一本道で、面白いかと言うと微妙なところではあるものの、ギラついた人々と退廃した世界観を暴力的なサウンドで堪能できる一作。

すまない、老いぼれ。
ぶみ

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