このレビューはネタバレを含みます
「入れ替わり」というシステムを利用したボーイミーツガールストーリーなんだけど、君の名は。が手垢のついたありふれたそれになっておらず、他の作品と一線を画した理由はその男女の「時間軸」が違う、ということで、それが作品をより重構造なものにしていると感じた。
黄昏時に二人が初めて会うシーンはアニメ映画に残る、美しいシーンだと思った。会話が少しどうしようもなくしょうもなくて、三葉が笑い出すタイミングや、笑いで間を埋めるのは少しチープさも感じたけれど、それこそが良さだと言われたらそうなんだと納得せざるを得ない。手に残した「すきだ」の文字。書けなかった名前。
糸森町の人間が助かったら、糸森の人間が死んだ、と記憶している世界線の人間はどうなるんだろう。世界の人間の認識内に齟齬が生まれているのではないか?そこに対する理解はできなかった。自分の不学故。