このレビューはネタバレを含みます
ほしのこえを観て以来、新海誠監督の作品にはずーっと期待してきましたが、どうも個人的にはあの短編の素晴らしさをこえられません。
とはいえ、監督の作品は毎度チェックしています。
君の名は。の素晴らしい点は日本特有の神事とSFの融合にあると思います。
様々なSF作品を読んだり観たりしてきましたが、入れ替わり現象や時間のズレの起こり方が巫女の血筋である宮水家からスタートするなどの設定は、古臭いといえども日本の古くからの文化に根ざしたもので、民俗学を研究してきた僕にとってもすごく興味深い内容です。
時間に関わる言い伝えはたくさん残っています。
舞台が飛騨という設定もまた神秘的です。
今風のノリで話は展開していきますが、話を広げすぎず、若者のこれから大きく広がっていく可能性を秘めた世界の中での日常がとてもよく表現されています。
褒めているのに、なぜこの点数なのか?
それは音楽の使い方。
大事な感情表現の際に歌詞が大きく響くわ、セリフやシーンのイメージより音楽の方がでかいわで、もう、台無し。
(個人的な意見です、悪しからず)
あの大事なシーンでは、もし自分が主人公なら、きっと音楽なんて聞こえないよね。
大事な人の声と、風や周りの音、その時の温度、匂い、そういうものが強く感じられるはずなのに、全てが人工的なサウンドに埋め尽くされて一気に現実に引き戻されます。
それさえなければなぁ、、、。