グラッデン

君の名は。のグラッデンのレビュー・感想・評価

君の名は。(2016年製作の映画)
3.8
新海誠監督の最新作。個人的に新海監督の作品は『海の向こう 約束の場所』以来の鑑賞とでしたたが、物語の骨格としては『ほしのこえ』の頃から大きく変化が無かったという印象。

時代の変化に合わせてディテール等をアップデート、予算規模に見合った豪華さを感じる作りになっていたと思います。

SF的なアプローチから男女の距離感を演出する構造は『ほしのこえ』や『海の向こう 約束の場所』も見られましたが、現代の通信手段の発達等を鑑みれば「会いたくても会えない」説得力としては抜群でしたし、本作の肝でもある「結び」の重要性を強化する意味でも非常に良かったと思います。

一方、現代の日本が舞台ということで、ディテールを含め、描写を現実に寄せることに対して、ある種「記号的な表現」の枠組みを乗り越えることも難しさも感じました。
例えば、登場人物の特徴は、アニメーションだからこそ、人物の細かな仕草等を入れながら絵を動かすことで演技させる必要があり、演者の雰囲気や表情といったオフの部分で見せられない点では不利に働いたかなと。
登場人物の台詞回しなんかもそうでしたが、リアリティに近づける部分では、もう少しブラッシュアップできたのではないかと思いました。

ただし、キャスト陣の声の演技は総じて好感触。特に『ちはやふる』の好演も記憶に新しい上白石萌音さんのヒロイン・三葉は良かったです。

あと、個人的に気になったのは、RADWIMPSの楽曲の存在感が強かったこと。個々の楽曲は大変素晴らしかったのですが、楽曲に引っ張られた部分もあったので少しバランスが悪かったかと。