鰹よろし

君の名は。の鰹よろしのレビュー・感想・評価

君の名は。(2016年製作の映画)
4.5
 入れ替わったことで見えてくるその個人ってところが堪らない。人生ってのは分岐点はいくらでもあれど結局辿れる道は1つ。1通りしか歩めない。要はレールがあるわけだが、この入れ替わりという現象でそれの脱線と復帰が見えてくる。レールの上の景色ではなく、そのレールの周りからその個人にアプローチができる。

 日々の生活で習慣づいているものがある。この習慣という道筋に復帰するのがまず入れ替わりにおいては前提となる。これにより今まで当たり前だったことが、今まで省略されていた事象が見えてくる。そして比較されるのである。中身(精神)が、である。


 学校の校庭に避難する件。3・11の時に津波が来るとしてここではダメだと高台に避難することを家族に訴えた子どもの話が頭を過ぎる。その個人という日常へのレール外からのアプローチをひたすらに観せられ、彼ら各々の行動を我々はどう受け止めるのか。何を胸に留めるのか。
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