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君の名は。のmitakosamaのレビュー・感想・評価

君の名は。(2016年製作の映画)
4.2
売れたねぇ〜〜〜〜!まさか新海誠がこんな売れっ子監督になるとは、ほしのこえの頃は思ってもいなかったよ。

今作のヒットに関して「売れ線を狙いやがって」みたいなこと言うバカがいかに多かったことか。売れる為の物語を作って売ったんだもん。映画だって産業なんだから、売れたものが正義だろうに。

今作が新海初の制作委員会方式だったそうだが、東宝のプロデューサーが優秀だったのだとも思う。
今までの新海は言わば同人作家の様なもの。例えるなら少年ジャンプに連載することになった同人作家が、編集者に揉まれてメガヒットを出したと考えたらわかりやすいか。
やはり大手ー東宝の配給ともなると、今までの作風だけじゃダメで、更に新しいことを足す必要があった事が判る。

それはズバリ、“物語”の獲得でしょう。今までの新海映画って話なんかあってない様なもんだったからね。
ぶっちゃけて言えば、ただセンチメンタルなだけの雰囲気映画だったもん。

でも今作はちゃんとストーリーがある。そうすると今度はユーモアが出てくる。新海映画に今まで無かった“笑い”の要素。そうなると散漫だった映画に緩急が出てくる。
新海テイストを充分に残しながらも、凄いテンポの良さ。

今までのおセンチ映画作ってる頃に比べたら、随分大人な作り方になったよなぁ。売れる為に社会に適合した作品作りの姿勢が、監督として大人になった。(作風が大人っぽくなった訳じゃない。むしろ良質な青少年向け映画を作るようになった。)

今作のヒットを見ると、コレまでの作品がすべて今作の習作だったのではないかと勘ぐってしまうよ。
常にすれ違い物語を描いてきたので、今作もハッピーエンドで終わらないんじゃ無いかとヤキモキさせられた。15年間も前振りさせられてたのかと思うわ。

ラッドの歌もハマったねぇ。これも秒速などで培ってきたセンスが爆発したと思う。

新海は元々ビジュアルと繊細さは持ち合わせていた。
さらにストーリー性・ユーモア・ハッピーエンドの娯楽映画として至極真っ当な武器を手に入れた。
今後もこの姿勢で作品作りを続けたら、超メガヒットを連発できるようになると思う。
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