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君の名は。のtakのレビュー・感想・評価

君の名は。(2016年製作の映画)
4.0
主人公の二人が入れ替わるというストーリーは、古くは80年代の「転校生」から、
最近ならNHKドラマ「さよなら私」、
韓流ドラマ「シークレットガーデン」まで、数多く使われてきたもの。

本作では大きな隔たりがある、まだ見ぬ二人が入れ替わるストーリーで、
その理由にも強い説得力があり、これまでの入れ替わりものとは違う味わい。
冒頭から最後までこの映画に圧倒されるのは、
何よりも背景や作画、台詞に頼らない部分が雄弁だということ。

ちょっとしたエピソードにも、
今のニッポンが抱える悲壮感や大人の事情といった背景が感じられる。
練られた脚本だな。
これは小説の行間を読む感覚だ。

そして日本の伝統や言葉の響きを大切にするその感性の素晴らしさ。
未見だが監督の前作「言の葉の庭」は万葉集が重要な要素になってるらしい。
「君の名は。」では、日本語の"たそがれ"をめぐるエピソードが印象的だ。
英語圏ならこれをtwilight zoneの超常現象と片付けるところだが、
これがとてつもなく切ない距離感に変わる。

言葉の雄弁さと映像の雄弁さが共存する見事な秀作。
観てよかった・・・。
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