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君の名は。のmatchypotterのレビュー・感想・評価

君の名は。(2016年製作の映画)
4.4
個人的にどっちが好きか、で言うと『天気の子』派かなー。とか言いつつ何度目かの『君の名は。』。
これは良くでき過ぎていて驚嘆しかない新海誠監督アニメ作品。

個人的にアニメーション映画を観る理由、観たいと思う理由、観て良かったと思う理由は、

・アニメーションでしか出来ない技法、表現、設定で、
・実写では描けない描写を実現し、
・実写にするよりも、世界観や納得感、整合性、感受性、完成度が実写のそれよりも上がる。

ことが大きいと思う。そこがアニメというジャンルに求める大きな要素の1つ。
で、本作は言うまでもなく、そんなことは完膚なきまでに網羅されてる。

しかも、この映画はそれ1つで1本の映画が成り立つ要素をまさに「組紐」のように、いくつも緻密に編み込み、張り巡らし、すべてを繋げ、結ぶ。

青春、恋愛、友情、夢物語、人格入れ替え、神仏、時間軸、自分探し、隕石、自然、、、。こんなテーマがアベンジャーズ状態を2時間弱で、1つも途中で抜け落ちることなく、すべてを感じさせながら、強く印象を持たせて、無駄なく且つ散らからずに組み立て締める。、、、凄すぎるわ。

RADWIMPSとの相性がこれまた良過ぎる。あの儚げででも芯の強そうな透き通った声。そりゃあ次の『天気の子』も続投するわ。

「何かを、誰かを、ずっと探しているような気がする。」

特にこの夢という朧げな、でも確実に、誰もが体験しててわかるけど、曖昧、人に説明するのも何か難しいことをベースにしているところ。

この掴めそうで掴めず、でもモヤモヤ気になるし、忘れたい時は覚えてて、覚えておきたい時は忘れる、みたいな夢の特性を、存分に使って、観てるこっちにも「きっとそうなんだけど、それって何だっけ?」みたいな掴めそうで掴めない、わかるんだけどはっきりしない神秘的な感覚を持たされる。

だからこそ、この2人がやっていること、想っていること、諦めたくないこと、を、応援したくなる。どうにかして何とかしてあげたくなる。
そういう意味で何かちょっと胸がアツくなる映画。いつのまにか、他人事に思えない映画。

夢という人の脳や理性では抗えない特性を持つ現象で、どうしてもうまくいかないもどかしさ。
こんなのもう、堪らんわ。

思い出せて繋がって自分のもやもやが晴れて、それが身を結んだことがわかった時はそりゃ大声で叫びたくなる。

ホントに色んなことが極まってる映画。
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