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何者のmarikabraunのレビュー・感想・評価

何者(2016年製作の映画)
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今をときめく人気若手俳優がこれでもかと勢揃いしながら全然万人受けのエンタメじゃない。それでも就活生のみならず誰しもの自意識に揺さぶりをかけるんじゃないかなと。
若さ故のあやふやなアイデンティティを守る為に虚勢を張ってみたり、他者を批評してみたり、そうやって自分の場所を確かめて無意識に安心しようとする。そんな人間を殺しにかかるように、就活と演劇のシーンが交差しながらエモーショナルに底意が露呈され、舞台化され、客観する主観ごと客観される演出。

生きる、何かを表現するってことはなんて痛々しく、恥ずかしく、愛おしいことなんだろう。それを寒いなどと小馬鹿にする人達は果たして何者であるのか。終始猫のざらついた舌で心臓を舐められているような気持ちになるのだけど、この映画をまだ愛せる優しさがラストシーンにある。
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