ドヤ氏

何者のドヤ氏のレビュー・感想・評価

何者(2016年製作の映画)
3.6
僕にしては珍しく原作既読。

就活生による言語型総合格闘技。
ジャブを繰り出して牽制したかと思えば強烈な右ストレートを相手に食らわせノックアウト。

普段からこういうSNSの気持ち悪さだったりアイデンティティーの意識だったりを深く考えてしまう、もしくは他人から敏感に感じ取ってしまう人ほど思うところのある作品だと思う。逆にそんなこと全く考えたことがないような人には「よくわからん」で済まされそう。実際、観賞後あちこちからそんな言葉が聞こえてきた。笑

もちろん僕も「お願い!もうやめて!耳が痛い!」状態。ほんとこんな苦行はないですよ。だって登場人物に自己投影したら劇中で論破される仕組みになってんだから。笑(こんなアプリでこんな偉そうなこと書いてる時点で僕が拓人の中に自分を見たというのは自明である。)

拓人は光太郎のようにはなれないし、理香や瑞月にもなれない。拓人が周りの仲間を蔑んだツイートをするのは、ダサくてサムい彼らを見下しているからというだけではなく、なりたくてもなりたくても、どうしても彼らのようにはなれない拓人自身の「羨望」の裏返しでもあるからなのだ。だからこそ痛い。本当は底抜けに明るい光太郎や語学堪能な優等生である理香のことが心底羨ましいからだ。それを「サムい」といって片付けるのは明らかに「想像力がない」と言わざるを得ない。

監督の出自もあってか、原作にはない演劇での表現がかなり多い。これが拓人のアイデンティティーをよりメタメタしく描写していて面白かった。

あと二階堂ふみかわいいしちょっと胸元がユルいのが良かった。笑
ドヤ氏

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