海苔

何者の海苔のレビュー・感想・評価

何者(2016年製作の映画)
3.5
 色々な経験を通じて成長したいというような気持ちはありつつも、いわゆる「意識高い」人たちを少し敬遠してしまう。素直な気持ちで「成長」を目指して様々なことに取り組む彼らの姿に、どこか虫の居所の悪さを感じてしまう。そんなひねくれた自分に何か貴重な示唆を与えてくれるかもしれない、という期待を寄せつつ、この映画を見に行った。

 ストーリー自体は、刺激的な展開や圧巻の結末を含んでいるわけではなく、特に起承転結というようなものもなかった。就職活動に取り組む若者たちの姿を、サッと切り取ったような作品。
 だが、そのカットのなかに、考えさせられるようなシーンがたびたびある。意識高い人たちや発信型リア充を冷めた客観的な視点で捉えてしまう佐藤健の姿は、自分と重なるように思え、非常に興味深かった。二階堂ふみの、冷静な分析者を気取ったところで何にもならない、結局何もできない。多くの人がイタさを自覚した上でがんばっているのだ、という言葉。イタいと思っていた友人の演劇を見て、たしかにみっともない恥ずかしいものだったのだけれど・・・という佐藤健が最後に語る場面。いわゆる意識高い人や発信型リア充たちに抱く何とも言えない気持ち悪さは、一種のルサンチマンであったり、自分とは異なる他者が気に入らないという感情であるにすぎず、結局何ら生産的なものではないのかもしれないとおぼろげながらに感じた。映画は示唆的な構成であっただけに、原作を是非読んでみたい。
海苔

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