TaroSonoda

何者のTaroSonodaのレビュー・感想・評価

何者(2016年製作の映画)
5.0
まさに2016年で観た映画で1番好きな映画!!ひょっとすると生涯ベスト級かも…

たしかに、映画としての出来は宇多丸さんなど色々な人が言ってるように圧倒的な完成度というワケではありません。
しかしそれでも、ぼく自身かなり衝撃を受けました!!!

映画館を出たあと、ここまで打ちのめされ呆然としたのは初めてです。

この映画の素晴らしいところは、とにかく人間の闇を描ききったことだと思います。
就活やSNSが主なテーマとなっていますが、それより深いところまでグイグイ追い込んでくる映画です。

僕自身、就活の年であったため、目を背けたくなるシーンの連続でした。大学生活を回想するシーンも多くあり、大学4年生の僕としては、とても人ごととしては思えませんでした。
とにかく素晴らしかったのは登場人物の会話のリアルさです。ちょくちょく、その人のダークな部分が見え隠れするところも「あーあるあるー」と悪い意味で共感しました(笑)

また、特に印象に残っている要素といえば、「演劇」の要素です。主人公と主人公の元親友のギンジが演劇サークルだったということもありますが、この作品のテーマとも直結するものでした。
映画の中の劇中劇で面接試験を行うシーンは皮肉たっぷりで最高でしたね。かなり辛かったですが(笑)

クライマックスのある事実が発覚する「どんでん返し」からの演劇シーンはとにかく圧巻で、主人公拓人くんがお辞儀するところでは僕まで拍手してしまいそうでした。
ネタバレになるので、詳しくは映画を観て下さい。

何故ここまで僕がこの作品が好きかと言うと、正直言って、僕は性格や大学での立場的に拓人くんにソックリだからだと思います。実際に拓人くんの様な行為はしていませんし、彼の就活状況ともかなり違いました。しかし、本質的なところはよく似ていて、漫画や小説も含めてここまで主人公に感情移入したのは初めてです。
ですから、最後の最後の面接からの青空のシーンはもう恥ずかしいくらい号泣でした。

他にも豪華キャスト陣によるアンサンブルやカメラワークもとにかく素晴らしかったです。音楽も流石中田ヤスタカさん!!!!

確かに難解な部分もあり、ハッキリ言って主人公の就活は内定が出ないまま終わります。しかし、刺さる人には刺さるので、とにかく観て下さい!!
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