JeanBoissieu

何者のJeanBoissieuのレビュー・感想・評価

何者(2016年製作の映画)
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まだ何者でもない者たちが、何者かになりたい、あるいはなりたくない、はたまたならねばならない瞬間というのが、人生のなかにはときどき発生しうる(らしい)。たとえば、モラトリアムの終わりとか。
その瞬間って、外側から見れば(たとえばSNSで除き見るみたいに)痛々しかったり、かっこわるかったり、「なんだよそんくらいで(笑)」なんてバカにされる程度のことなのかもしれない。けれど時間軸の内側を今まさに生きる人たちにとっては、そういう瞬間というのは重さと幅を伴う経験そのものだ。
この群像劇は、のっぴきならない現実こ狭間で小刻みに震える人たちに嫌気がさすほど光を刺す。就活という儀礼、SNSの寓話、演劇という装置を使いながら、人が人生を生きるときに起こりうる自身や関係性の小さな変化をぱっとつかんで、目の前につきだしてくる。「あなたもこれから目をそらすな」とでも言わんばかりに。
JeanBoissieu

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