もげ

特捜部Q キジ殺しのもげのネタバレレビュー・内容・結末

特捜部Q キジ殺し(2014年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

特捜部Qの第2作め。再視聴・原作読了。
原作を読む前は、映像の美しさ、キミーの陰惨な過去、そして復讐、キジ殺しの少年たちの残酷さがよく描かれていると思ったんだけど、原作を読んでしまうと、どうしても映画に足りないところを数え上げて不満に思ってしまうな。
原作そのままを映画には出来ないから、ない物ねだりなんだけど。それだけ原作が素晴らしい、面白いということだと思う。

原作と映画の違いまとめ
・映画だとキミーの相手はディトリウだけで、王子様お姫様みたいにちやほやしあう関係だったが、原作は男5人のマスコットというのか、アイドルというか、性的玩具、共有物といった位置。潤滑油的役割というのか、もちろんひとりの人間として扱われておらず、キミーは孤独だったので最初は不満はなかったが…という設定。

・ディトリウさんとウルレクさんの最期(原作は爆破)
・キミーの最期(映画はディトリウと無理心中で焼死、原作は線路飛び込み)

などなど。たくさんの相違点がある。
まぁ原作の男たちとキミーの関係を描くのは映画の尺では無理と思うし、倫理的にもちょっと無理かと思う。
あと原作のがキミーが賢くて、探偵はキミーの変装に気付かないし、隠れ家は見つかる前に爆破していた(原作のキミーは爆破好きだな)
ディトリウの家に侵入して撃てなくて警察に見つかって逮捕されたりもしてないし、証拠品を集めていたのはキミーだし。
そういや原作のキミーの義母酷すぎ。父と義母がまともなら、普通の子になっていたと思う。
子どもが出来て、どうにか普通の母親になろうと努力していたのに、義母はディトリウにタレコミしたり家に入れちゃったりするんだよな。

そんな感じで、映画にあれこれ思うことはあるが、やはり原作と引き合わせてくれた事は大きい。感謝しないとなと思う。
面白さでいうと原作の1/10くらいだが、映像美は素晴らしい。初見のとき、ラストシーンを美しいと思った。裏切った男と燃え上がるキミー。悲しくも美しい終わり…。

原作の雰囲気を味わうにはよい映画であり、原作に興味を持たせるための宣伝物、とっかかりと思えばよいかな。
原作未読で小説に抵抗ない方は、ぜひ原作を読んでみてほしい。
原作最高なので、多少星を足した。
もげ

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