カイ

ホームレス ニューヨークと寝た男のカイのネタバレレビュー・内容・結末

-

このレビューはネタバレを含みます

彼を自由な人だと思えるか、それとも可哀想に思うか。二つの線間を行ったり来たりしながら、カメラはMark Reayを追う。具にではなく、あくまで彼の語る言葉を追いながら。労働や家族といった外部に縛られることなく生きる姿は自由そのもの。しかしふとした瞬間の独白は、それを肯定する訳でもない。誰にも愛してると言ってこなかった。親孝行などもっての外。リスクを回避する為に身だしなみには人一倍気を使う。自分一人で生きていたくても、衣食住のどれかは外部に委託せざるを得ない。何物にも縛られず生きるということは、同時に他者から理解されないということでもあると、彼の生き様が教えてくれる。人の幸せは誰かの物差しで測れるものではないから、この人生が幸か不幸かは言えないけれど、自分は一人だけで生きていく自信はない。そしてマーク自身も同じように覚悟がある訳ではない、人並みに脆い人だと思う。観終わって思うのはただ一つ。傲慢に聞こえるかもしれないけれど、彼自身が心から満足できる幸せな人生を送って欲しい。夢から零れ落ちた現実の物語。
カイ

カイ