柚子

素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店の柚子のレビュー・感想・評価

3.8
貴族の一人息子のヤーコブは、大豪邸に暮らし何人もの使用人を抱え経済的に裕福な暮らしを送っている。
しかし、最愛の母が亡くなったことで生きる意味を見失った彼は、自ら命を絶つことを決意。
ひょんなことから出会った“旅行代理店”で選んだのは、いつ・どこで・どんな風に死ぬか分からない“サプライズコース”。

一風変わった題材の映画で、観ている者にまさしく“サプライズ”が、それも何度も待ち受けていて見応えがあった!
ブラックユーモアの効いたほのぼの映画かと思いきや、社会的風刺が込められているなと思った。
調べてみたところ、この映画が製作されたオランダ、旅行代理店のあるベルギーのほか、スイス、ルクセンブルク、アメリカの一部で安楽死は合法らしい。

高度に発展した人間界では、死ぬ自由を選択でき、ますます安楽死事業は拡大していくだろう。
それも一部で合理的ではあるのかもしれない。
果たして本当にそれでいいのか?
生きることに苦痛を感じている人に対し、死んじゃダメ!なんて言える権利は私にはない。
でも、せっかく生まれてきた命が進んで死を選ぶことの異常性はもっと問われるべきだとこの映画を見て思った。


安楽死が国によって認められているオランダだからこそ作ることのできた、皮肉や風刺が込められた映画だなと感じた。
柚子

柚子