「言っとくけどな、そんな簡単になりたい大人になれると思ったら大間違いだぞっ！」
はぁ、いい映画を観た。
鑑賞後に心からそう思わせてくれるのが是枝監督の作品。
これは誰もが未来に抱える「こんなはずじゃなかった」今との付き合い方と、想像してた未来との上手な別れ方の映画。
想像してた未来、なりたかった未来に進むことは悪いことじゃない。
その未来に向かう姿勢は大事。
それでもその結果の今を「こんなはずじゃなかった」って嘆くだけじゃなくて、ちゃんと向き合うこと。
だって、生きていかなきゃいけないんだもの。
もう本当に、ただ染み入る。
作品の空気とテーマが心地よく、どこか切なく、何回もぐっときてしまった。
最初の樹木希林さんと小林聡美さんのお芝居からあふれでる家族感といい、もう本当にリアル。
いや、リアルもなにもない。本当に現実の話のようだった。
全ての役者がしっかりと役割をこなして、全員の芝居が好きだ。
阿部寛さんのどうしようもないダメ男も、
樹木希林さんのこっちが「もういいから」と微笑み呆れつつつぶやきたくなる祖母も、
真木よう子の息子を想う母親も、
池松壮亮の飄々とした後輩も、
ああ、書ききれん！！！！
書ききれんよぉ！！！
海街のような爽やかで優しい作品ではないが、
ほっこりして心地よくて切ないノスタルジーを感じられる良作だった。
ある種のカタルシスを感じることもできる鑑賞後のこの気持ちは、流石是枝監督。
よい作品。
皆様も是非。
