ダメダメな主人公が過ごす情けない人生が愛おしく感じられた。
人間そんなに立派じゃなくていい、こんなはずじゃなかったって誰もが思いながらも、こんなはずじゃない毎日をそれなりに一生懸命生きている。それでいい。そう言ってくれている気がした。
何十年もの日常が過ぎていった狭い団地。
薄くて美味しくなさそうなカルピスのアイス。
いかにもな人たちが勤める探偵事務所。
少しの夢が詰まった宝くじと、いつもと違う何かが起こりそうな気がする台風の夜。
将来の夢は公務員と答える少し冷めた子どもと、
文句を言いつつ、元旦那の狭い実家に泊まっていく元妻。
そして、どうしようもないけど憎めない主人公。
他にもいっぱい。
全部好き。