菩薩

天国はまだ遠いの菩薩のレビュー・感想・評価

天国はまだ遠い(2015年製作の映画)
4.3
ほとんどの人間は目に見えるものしか信じない、かく言う自分もそうである。熱を出す、体温計を差し出す、大丈夫?と心配をされる、なんだか気分が落ち込む、夜も寝れない、甘えるなと怒られる、要するにそう言う事だ。しかし目に見えずとも真実として存在しているものがこの世にはいくらだってあるし、真実とは結局のところ当人が何を信じるかである、ってかなり凶暴な論理だし、こう言う論理からストーカーとかが生まれるんだろうけど、でもこれは致し方ない事実だと思う。この作品の主人公はインポである、終盤女性と抱き合うシーンがあり、カメラは意図的か否かは分からないが、画面の中心に彼の股間部を映し出す。てっきり俺は「こいつ勃起してやがるのか…?」なんて思って身を乗り出してみたのだが…さて果たして…。知るべき事とそうでないもの、女性器の神秘がどちらかは定かではないが、モザイクの先の先にだって真実があるし、真実とはいつも一つとは限らないし、真実は時に残酷なものである。雲の先には天国が?その天国だってもしかしたら地獄かもしれない、ただ人は死ぬ、それだけは真実であろう。


追記:見える/見えない、聞こえる/聞こえない、触れる/触れない、繋がる/繋がれない、信じる/信じない、許す/許さない、この映画のダンスも後一ミリのところで触っていない、改めて観ると濱口竜介の核はこの作品にあるような気がしてくる、目の映画だ。
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