何かに侵され人が人ならざるモノとなり、静かに侵略をされるというお話。
襲ってくる時はどう見てもキングクリムゾン使ってる。
背を向ける人、ニタリと笑う人、逆再生音声など不気味さの演出に光るモノがあり、静かにそして確実におかしくなっていく空気感はすごく良かった。
人だけど人じゃないと感じ取れる微妙な範疇の崩し方による恐怖感もかなり好きだしゾッとする。
両腕チュパチュパと窓ビターンがお気に入り。
しかしカメラワーク!!演出!!
大事なシーンを見せない、ボカすのはPOVの常套手段だが、それは見せるべきところを見せたからこそ掻き立てられる想像という「見えない恐怖」であり「見せないことによるリアリティ」があってこそ。
断片的な恐怖と、そこからイメージする惨劇こそがPOVの醍醐味。
いきなりピンボケ視点で、わーきゃー騒がれてもなんかあったな?ぐらいにしか思えず、逆にノイズになってしまっていた。
カメラワークもPOV特有のブレとか、場面がガチャガチャ切り替わるのは別に構わないが、今作はカメラ三台で視点を行ったり来たりするのが激しすぎて鬱陶しい。
おまけに「誰が撮影しているのか」という一貫性がぶっ壊れてるので、最終的には明らかに登場人物のカメラではない視点が混ざってくる。
これはいけない。POVというリアリティが大事な世界で、ばっちり第三者のカメラマンを意識させてしまう。
あとは設定の抜け、勢い感かなぁ。
低予算映画ではあまり突っ込まないが、侵略者の行動原理がわからんすぎる。
チェストバスター的なモノだと思ったけど、なんかしっくりこない。
材料は凄く良かったと思うし、不気味で怖い映画という立派な料理になっただろうに、丸焦げになってしまったようなとてももったいないと感じた作品でした。