爆裂BOX

続・光る眼/宇宙空間の恐怖の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

4.0
国連が行った全世界の子供の知能検査の結果、6人の少年少女が超人的な能力を持っていることが判明し、研究の為彼らはロンドンに集められる。彼らの能力を利用せんとする国家間の陰謀が渦巻く中、子供達は突然廃墟と化した教会に女性を人質にとり籠城する…というストーリー。
タイトルに「続」とついてますが、内容的には前作との繋がりはない独立したもので、姉妹編といった感じの作品ですね。
前作では平和な村を突如襲う異変が前兆として描かれて、その後子供達が生まれましたが、今作では子供達は12歳くらいの年で物語が始まります。
全世界の子供達を対象に知能テストをした結果、アインシュタインの数倍にも及ぶ知能を持つ6人の子供がイギリス、インド、ソ連、中国で発見され、調査の中でその子供達の母親が処女のまま妊娠して生まれた子供であることが明らかに。超人的な能力を持つ彼らを戦略的に利用しようとする人間達が現れる中、子供達は彼らに反旗を翻していきます。
前作ではイギリスの小さな村が舞台で他の世界の子供達の事は会話の中だけでしか出てきませんでしたが、今作では人種も国も違う6人の子供達が登場します。前作と同じく一人が一つの情報を知ると残りの子供達もその情報を共有しますが、今作では肌の色の違いや国籍など関係なく彼らは一つの存在なのだと感じさせます。前作でも人を操って死に追いやったりしたのは自らの生存権を守るためにやっている感じでしたが、今作でH特にそれを強く感じさせますね。母親を操って事故に遭わせたりしますが、それも脅威になるようなことを言われたからですし、人間を操って死に追いやるのも自分達に危害加えようと行動したものだけですし(犬殺したりとか)教会に籠城した彼らが、教会にある物を使って殺人音波を出す装置作って自分達を捕えようと来た兵士達を倒す所面白かったですね。リーダー格のポールの叔母を連れてきますが、自分達のメッセージを伝えさせる人質の役割はあったかもしれないけど、自分に優しくしてくれた存在だから連れてきたというのも大きんじゃないかな。子供達が一緒に行動し始めた時に、そのうちの一人がいつも連れてる犬が一緒についてくるの可愛らしくて良かった。
タイトルの「光る眼」のシーンは、静止画にして目を光らせるという表現でしたがモノクロと相まってこちらも不気味です。
国家は彼らを武器の様なものとしか考えておらず、他国に渡すものかと国家間でけん制し合い、やがて人間の敵になるかもしれないから抹殺してしまおうとまで考える人間の醜さの方が、物語が進んでいくとともに強く描かれていきます。大使館に現れたポールに「君の事は尊重するよ。でも、あの兵器を作る方法を教えてくれないか?」「他国に渡ったら大変だからね」と口々にいう大人たちの醜さときたら!利用しようと考えて自分達の手に負えそうにないと分かるとすぐさま排除する方に向う醜さもリアルに感じます。
主人公の科学者二人の仲悪そうで仲いい感じが妙に好きでした。事態の進行と共に、「共存の道を探るべき」と「人類を支配するようになる前に抹殺すべき!」で意見が割れて衝突する所も面白い。
クライマックスで軍隊が取り囲む中で教会から現れた子供達が手を繋ぎながら放つ「僕たちは抹殺されるために来た!」「人類は殺し合いを続けるがいい!僕たちは違う道を選ぶ」という台詞が強烈に刺さってきますね。「人を殺してはいけない」という主人公の言葉を聞いてこの結論に達したのかな。
和解の道へ進むと思われた時に、些細な切欠から最悪の結末へと向かうラストは、息をのむような緊迫感から一気に爆発するような感じで、瓦礫の下から覗く握り合った手の描写も含めて後味悪くてこれも強烈ですね。最後にドライバーがアップになって終わるのも些細なきっかけで最悪の戦争が始まるのかも…と感じさせて今一層リアルに恐怖が迫って来るんじゃないでしょうか。
血液を調べてわかる子供達の正体も、断定はされないけどもしそうなら数百万年後には人種も国の違いもなく人類は一つの存在になるのかな?それとも、今回その未来へ繋がる道は永遠に閉ざされたのか。
前作のような作品全体を覆う不穏さは減りましたが、今作もポリティカルなスリラーも感じさせて前作に劣らず楽しめました。レビュー書いてる途中で地震来てメチャビビった…