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ダンケルクのIdeonのレビュー・感想・評価

ダンケルク(2017年製作の映画)
4.0
観客はホワイトヘッド君とともに、唐突にダンケルクの戦場に放り出される。その後は、彼と機銃掃射の真っ只中を逃げ惑う感じであるが、彼が主人公かというとそうとも言えない。物語は、戦場から船で脱出しようとする最前線の兵たちの話、イギリス兵の脱出を優先しようとするケネス・ブラナー扮する将校の話、敗走する兵たちを銃撃しようとするメッサーシュミットを撃墜するべく命を燃やすトム・ハーディ扮する英国空軍兵の話、追い詰められた兵たちを、遊覧船で助けに向かうマーク・ライランス扮する親子の話に分かれ、微妙にシンクロしながら進んでいく。監督の狙いは死地から脱出しようとする人々をリアリスティックに描くことのようだ。だから、従来の戦争映画のように、戦略で窮地を脱出していくようなドラマティックな場面は殆ど無い。幸運な者が生き残り、不運な者は死んでいく。ドラマ的な面白さには乏しいが、戦争を疑似体験する映画としては、プライベート・ライアンを凌ぐ作品だ。最後まで時を刻むハンス・ジマーの音楽も斬新な出来である。
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