面白いよ。劇中の９割は緊張感が続くし、音響と音楽が凄まじいのですごい映画に没入出来るし、ノーランお得意の時間軸のずれた演出から一つに集約される瞬間は盛り上がるし、救出されるまでの地獄のような時間は「もうやめてくれ～」の連続だったし、スピットファイアは超カッコ良かったです。特に良いなぁと思ったのは、主人公のラストカットの表情。危険を顧みずに救出に向かった民間人、己の命を賭してまで敵機を追いかけ続けたパイロットなど人間の尊厳を描きつつ、主人公のラストカットの表情で戦争の本質を表現していると思った。顔と名前が一致し難い、ただ物語をなぞるだけで結局何を描きたかったのか分かり難い（もしくは多角的に描いているので、一つに絞った方が良かったのではないか？）、そもそも登場人物のバックグランドがほぼ描かれないので感情移入が皆無、音響と音楽が命なのでIMAXじゃなかったらショボイ映画に感じられるのでは、という不満はあるものの（不満ばっかりだけど）、ノーランが大衆向けに作った総決算と言える作品だと思う。
