防波堤、一週間
海、一日
空、一時間
その文字だけが浮かび、何も状況もわからず、戦地に投げ込まれる。
僕はいつも映画、ドラマ、マンガ何でもそうだけど、ほとんど事前に知識は入れない。
その方が場面場面の驚き、主人公と一緒になって話を進めていく一体感と没入感が楽しめるからだ。
事前に知識を入れると、ガッカリした事も多くあったからってのもある。
だけど、この作品においてはそれが完全に裏目に出てしまった。
史実の映画化であり、イギリスでは「ダンケルク・スピリット」として語り継がれるほどの歴史。
ノーランが若かりし頃から撮りたかった映画ということもあり、これは「お話」ではない。歴史的事実をできる限りリアリティを追求して映画として収めたドキュメンタリーである。
なので、映画の中に「説明」なんてものはないし、「主人公」もいないのである。
そうなってくるといつも僕がやっている映画の楽しみ方は完全に破壊される。
今、これは何をしているのか?
何を目的としているのか?
観ながら本当にチンプンカンプンになってしまった。
しかも防波堤、海、空の場面は時間軸に沿っていない。
行ったり来たりしている。
それに気づくのも映画が大分進んだ後で、さらに頭を掻き回されてしまった。
でもって出ている役者さんの顔がまた似たり寄ったりで、軍服も相まって誰が誰だか分からなくなることも多い。
それにプラスしてあの地鳴りのように鳴り続ける音楽と、始まりから終わりまで途絶えることのない戦場の緊迫した空気、戦闘機の旋回、船の揺れ、爆撃、銃声、映画を映し出す全てが三半規管を掻き乱し、本当に何が何だかよく分からなくなってしまった。(IMAXで観たから余計に。。)
最後に迎える静寂。
ダンケルクで起きたことが終わって、ようやくそういうことなのか?と安堵と理解が同時に訪れた時、映画も終わってしまった。。
んなもんで、歴史的背景を少しでも事前知識として入れていたら、初見の評価は全く違ったものになっていただろう。
完全に置いてけぼりを食らってしまった。
全てを分かった上で、もう一度観たい。
そういう衝動に駆られている。
てことでパンフを隅から隅まで読み込み終わって、今ようやくレビューを書いている。
全くCGに頼らずに作ったってことも知り、本当に飛行機を飛ばして映像を撮ったのか。海の上で撮ったのかという事実を知って、もう心底驚いている。
映像はホント凄い。
今思い出しただけでも酔いそうになる。
圧倒的なリアリティ。
2回目の鑑賞が楽しみである。
(いつになるかわからんが(^◇^;))
ある意味今回もノーランにしてやられたわ。