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ダンケルクのtkato100のレビュー・感想・評価

ダンケルク(2017年製作の映画)
4.7
「我々の世代が戦争を始めたんだ

それで息子の世代が戦場に行くことになってしまった

迎えに行かなければ」


海軍に徴用されたプレジャーボートで一路ダンケルク海岸を目指して舵を取る船長の爺の台詞

ドイツ軍🇩🇪機械化師団に追い詰められ、背水の陣となった英仏兵士40万人

英首相『戦争屋』チャーチルは救えて3万人と見積り、本土決戦に備えて駆逐艦、海軍艦艇を温存する決断を下す。

非情だが政治的戦略的には正しい事なのでろう。

しかし、40万兵士にはそれぞれ家族がいて、故郷がある。
誰もが誰かの息子であり、兄弟であり、父親であるのだ。


海軍からの民間船舶の『徴用』と言えばそうなのだろうが、軍首脳の思惑を超えて続々と集結する漁船、商船、遊覧船🚢、船、船、船!

海岸に取り残されていた兵士達は諸手を振り歓声をあげる。


メッサーシュミットの銃撃を躱すプレジャーボート爺に、撃墜され海に不時着した所を掬われた空軍パイロットが尋ねる

パ「戦闘機に詳しいんですね?」
爺「息子が空軍にいてな」

パ「君かい?」(爺の息子に向けて)
息「いえ、私の兄です。『ハリケーン』に乗って戦い、三週目で戦死しました。」


冒頭で海軍が海兵を徴用船に配置している時に、プレジャーボート爺は要員の海兵が乗り込む前に船を出航させている。

爺の胸中や如何許りか。


帰還した兵士達に毛布を配るまた別の爺

爺「お前さんたち、みんなよくやった」
兵「何もしてない。唯生き残っただけだ」
爺「…それで十分だ」


そう、きっとそれで十分なんだ。戦争は。
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