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映画 聲の形のmitakosamaのレビュー・感想・評価

映画 聲の形(2016年製作の映画)
4.0
京アニ×山田尚子の布陣で、世間に届く様な作品として挑んだだけあって、とっても完成度の高い映画となった。京アニの作風がどうしてもアニオタよりだったし、今までは一般層の認知度は低かったからね。
アニメ好きなら京アニのレベルの高さは承知の上だが、今作でだいぶ社会に周知されたって思う。

障害者とイジメというハードなテーマの原作をチョイスしただけあって、京アニ的にも並々ならぬ決意はあったんだろう。それに見合う映画だ。

今作の何が良いって、やっぱり登場人物がみんなホドホドにクズぃんだよ。
将也は子供の頃のイジメ・イジメられにより心を閉ざす。高校に入り硝子に贖罪とも恋ともつかない態度をとる。
硝子は硝子で、受動的で主張もしないが求めはする。
やっぱり山田尚子が、女性キャラを純真無垢に描かないことが好感持てるよ。これは女性監督ならではの女性の描写の上手さだと思う。

さらにクラスメイトの植野。一番カワイイキャラなのに、なかなかの性格の悪さ。そしてその性格の悪さを最終的に否定も肯定もしない。ココが重要!

硝子の妹のユズルもちょっと歪んだ登校拒否児なのも、みんなそれぞれ問題あるが、彼らの気持ちがとっても理解できる。
クズさNo1の小学校の担任も、まぁこういう奴いるよな、と共感は出来なくても容認できる。
そんななか永束くんが一服の清涼剤になって、映画の緊迫感をキツくなりすぎずに好感度大!

聾唖というモチーフに対して、例えば水に落ちて無音になるシーンとか、演出の上手さにハッとさせられる。
山田尚子にはもっともっとメジャーになってもらいたいわ。

ぶっちゃけaikoの歌はつまんないと思う。映画の出来に比例してない。

あと個人的には、補聴器がスゲー高価なことを知った。それだけでも見て学んだ甲斐があったよ。
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