このレビューはネタバレを含みます
観終わった後、胸が熱くて何かがぐるぐるしている。余韻の残る作品。
前情報として、いじめ描写が辛いだとか、性格が嫌なキャラクターがいるだとか聞くが、作品の本質はそこにはないように思えた。
確かにいじめの描写は見ていて辛いし、それぞれ自分勝手な言い分をする人物たちに苛立ちを覚える。
でも、正直こういう人たちって我々が生きている世界にもごまんといると思う。
それぞれにそれぞれの信念がある。
例えば川井は、自分が可愛いのはもちろんあると思うが(そんなのは誰でもそうだ)、揉め事が嫌いなのかもしれない。周りの目を必要以上に気にする女の子なのかもしれない。
植野は、周りを慮るということの出来ない、思ったことを口に出す女の子なのかもしれない。家族に物凄く甘やかされていたとか、逆に家の中でストレスの溜まる何かがあるとか。
他の人たちも然り。
そんな、いろんな人がいる中でどう向き合っていくか。
他者と共存していく中で自分を認めるって本当に難しいこと。自分を認めた上で、どう生きていくか。
西宮のおばあちゃんが「あなたは自分のことを考えなきゃ」みたいなことを言っていたがまさにそれだと思う。
自分の心の声を聞く。ということ。
そう考えると「聲の形」というタイトルは、思うように気持ちを声に出せない西宮を象徴しているタイトルではないような気がしてきた。
とても素敵なタイトルだと思う。
演者も、映像も音楽も、全てが素晴らしく思えた。
