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目次
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『リメイク、リミックス、リップ・オフ』に投稿された感想・評価
KnightsofOdessaの感想・評価
2022/03/27 22:34
3.5
["ある意味で全ての映画は互いのコピーだ"] 70点
"世界には30パターンくらいしか物語がないんだから、全部混ぜちゃえばいい"という圧倒的なパワーワードで幕を開ける本作品は、1960年代から70年代にかけて、当時世界有数の映画生産地だったトルコが、その需要に応えるために世界中の映画をパクりまくったことについて、当事者たちが回顧するドキュメンタリー映画である。イスタンブールにあるエメックシネマという大劇場とその裏通りに密集した大量の製作会社を中心に独自発展した文化であり、年間製作本数は300本を超えていて、関わった映画を訊かれて"200超えたくらいで数えるのを止めた"とかいう猛者もゴロゴロ登場する。どうしてそんなことになったのか?ひたすらに伸び続ける映画産業の需要に対して、脚本家は Safa Onal, Bulent Oran, Erdogan Tunas の三人しかおらず、労働環境も機材も設備も劣悪だったことから、トルコに著作権法が存在しないことを理由に同時代のアメリカ映画をコピーしまくっていたようだ。映画の中では実際のコピー映画も様々登場するが、『エクソシスト』や『スターウォーズ』、『シャザム』など、アレンジすらなくそのままなシーンもチラホラ。映像もパクリだったら劇中歌もパクっていて、こちらは『ゴッドファーザー』や『燃えよドラゴン』など有名な曲を微妙に加工して別の映画に使いまくっている。その他、俳優たちは自前の服を使い回すために自ら加工を施したり、命がけのスタントや高所撮影を限られたリールの中でこなしたりしており、カメラマンもレールを石鹸とお湯で代用したり、フィルターを自前で作成するなど、様々な創意工夫と覚悟で大量生産の時代を支えていた。
興味深いのは、コピー映画が単純に丸っとパクっただけではないことだろう。トルコの観客に馴染むようローカライズするために、例えば『スターウォーズ』ではインディ・ジョーンズのテーマが流れるような肉弾戦が描かれたり、アメコミ映画でも様々なヒーローを統合して一人の人物を創造したり(ファントママスク&胸にスパーマンのロゴ&バットマンのベルトでスーパーバットマスクなど)、『ランボー』では主人公と戦って負けた暴走族がゾンビになったりなど、固定概念を打ち破るような、本場の地域では絶対に出来ないような、リミックスが行われていたというのだ。"ある意味で全ての映画は互いのコピーである"とまとめるのは少々暴力的だが、様々な制限の中でもキチンと国内でヒットする作品を生み出し続けた彼らの探究心は、彼らが目指した欧米の作品と肩を並べているだろう。だからこそ、自嘲気味に"まともな映画を一本も撮れなかった"とする監督たちも、どこか誇らしげに過去を語っている気がする。
しかし、80年代に入ると社会情勢の悪化、軍事クーデターによる映画館の閉鎖によって劇場を離れた大衆がその軸足をテレビ番組に移したこと、ポルノ映画ブームによって家族連れが余計に劇場から離れたこと、及び当局による過激な検閲によって、コピー文化もそれに合わせて衰退していった。過激な検閲はユルマズ・ギュネイやメティン・エルクサンといった、同時代でも図抜けて知名度のあった監督たちにも覆いかぶさり、様々なフィルムがイチャモンをつけられて回収された挙げ句、火事によって焼失してしまったらしい。
現在のトルコはドラマシリーズが大量に製作されているが、著作権法の整備も進んで、かつコピー時代よりも低予算短期間で製作をすることもあって、製作環境は悪化しているらしく、それについてのデモなどが描かれていた。また、再開発によって映画文化の中心地だったエメックシネマも取り壊しとなり、一つの時代が終わってしまった。
#2022ofOdessa
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xiaocuiの感想・評価
2016/09/27 12:43
3.5
@yidff
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