【森の密約】
ロバート・エガース監督×アニャ・テイラー=ジョイ主演の魔女ホラー作品
〈あらすじ〉
17世紀のニューイングランド。宗教上の理由から地域の共同体を離れ、荒れ果てた原野で自給自足の生活を始めた敬虔な一家があった。しかし彼らは次々と不可解な現象に見舞われる。そして魔女への恐怖から、次第に崩壊の途をたどっていくことになる…。
〈所感〉
事実上地域共同体から破門されたあるキリスト教原理主義家族のお話。ホラーとしては可もなく不可もなくといった感じの怖さだが、目に見えない物やお互いよく知っているはずの家族に振り回される長女トマシンを演じたアニャ・テイラー=ジョイの姿がそそられる。他の方も言われてるとおり宗教色の濃い作品なので背景知識があった方が楽しめるように感じた。15～17世紀にヨーロッパと米国で起こった魔女狩りは、人類史上で最も非道な出来事の一つである。いわゆる魔術を行う者には女性が多く、病気を治したり、出産を助けたり、失くしたものを見つけたりするなど、近所の人々に頼られていた側面もあった。一方で、病気や死、嵐、地震、干ばつ、洪水など何か悪いことがあった時も、超常的な力から魔女のせいにされたという。本作のトマシンもそのように疑心の目で家族から迫害され、恨み、復讐を誓う。そして、また新たな魔女が生まれる…それを予感させるラストはそこはかとなく恐ろしかった。
