カタパル

ウィッチのカタパルのレビュー・感想・評価

ウィッチ(2015年製作の映画)
3.3
最初に観た時はあまりピンとこなかったけど、"The Lighthouse"を観た後だと本作でロバート・エガース監督がやりたかったことが理解できました。この作品も"The Lighthouse"も昔のニューイングランドを舞台にして、当時の風習や言葉を可能な限り再現しています。そして、隔離された環境でのサバイバルを描いているのも同じです。アメリカ移民の多くはカソリックより厳格な清教徒たちで、その宗教観を反映しているのも同じです。

最近の研究では人類は喜んで狩猟生活から農業に移ったわけではないことがわかってきています。環境の変化によって仕方なく農業をした。十五世紀が舞台の本作における家族も文明の象徴である「村」から出なければいけなくなり、野生での暮らしを余儀なくされます。その中でなんとか生き抜こうと必死なのですが、なかなかうまくいかない。その厳しい環境で隔離された人たち。文明って福音なのか、困難なのか。

単純に「昔は今より良かった!」じゃないし「昔は今より酷かった!」でもない。隔離された環境で困難な状況に置かれた時、いつの時代であってもどうやって人間らしさを持ち続けられるのか。そもそも、人間らしさってなんなのか。それが本作と"The Lighthouse"における共通のテーマなんだと思います。

ただ、映画的には"The Lighthouse"と比べると洗練さが足りていません。比喩的な表現ではなく、直接的な表現が多いのがその一つ。登場人物のキャラが定まりきっていないのももう一つ。父、母、子供がそれぞれ何を象徴しているのかが曖昧なんですよね。そこはもうちょっと深掘りして欲しかったなと。