ロリコンダメ絶対。
30〜40年代のハリウッドスター、エロール・フリン──日本語の語感的にドスケベ野郎みたいに聞こえるが、実際10代の娘に手を出しまくりレイプの疑惑もかかる典型的な古き悪しき芸能人。本作は彼の最盛期を過ぎた後の最後の恋人、出会った時には15歳だったという少女ビヴァリーの母親の暴露本を下敷きにした伝記映画。
エロール・フリンのキャラクターは親子ほどの歳の離れた幼気な少女の身体を弄ぶファッキンロリコン野郎というトーンであれば分かりやすいのだが、劇中ではかなり真摯にビヴァリーを愛し、母親も後追いながら公認。「彼女のことが恋しくて泣きながら手紙を書いた」という設定でロケ地から送ってきた手紙に水滴を落とすなどヤリチン俳優らしい女心に訴える演出もするが、最後には財産のかなりの部分を彼女へ贈与するという遺書も残している。
しかし、これがホテルのメモ帳に書かれた口述筆記で、本人のサインも保証人もなく遺書としては完全に無効であるというヲチがついてしまい、弁護士が「雑な仕事だ、彼らしい」と語るシーンが印象的。
また、ロリの語源であり、中年男性と少女との報われぬ恋の代名詞的な作品『ロリータ』の主人公に共感し、映画化の際にキューブリック監督の下で彼女との共演を予定していた。ここまで来ると、堂々としたものだというか、開き直りも甚だしいというか。
ところが、いかに愛が真摯だろうと母親公認の仲だろうとも15歳とヤッちゃうおじさんは絶対悪なのが現代社会であり、ポリコレ的には二人の間柄を肯定的には描けない。どっちつかずというか事実だけを平板に語りつつ何となくグズグズとビターなエンドになった印象。
とはいえ母親も母親で「娘に制止されながら暴露本を出して縁を切られ、児童売春斡旋で捕まる」という末路を辿るので、二人の仲を見守るのは愛というべきではなく、初めから娘を食い物にしていたということなのかもしれない。ゆえに母親の語る暴露本ベースの物語は、信じるに値しないということかも……
ビヴァリーを演ずるダコタ・ファニングちゃんの「堂々としてはいるが偉いおじさんの贔屓で引き立てられてるだけでイマイチなタレント」という演技が絶妙。