夢里村

ぼくは明日、昨日のきみとデートするの夢里村のレビュー・感想・評価

3.0
くどい回転イメージと天国的なオーバーな光の演出、嫌いじゃなかった。露骨なのはわかるけど、それでも歯車が噛み合ってた気がする。駅や屋内のあり得ないくらいの光の量はそれ自体が虚構なんだけど、それが時計の面をつぶす→無情に回り続ける遊園地の異なる乗り物が背景と前景でぐちゃぐちゃに動くのが、福士蒼汰の内面を表面化させてる。そんであの乗り越えたとかなんとか言う電話のショットの、左右に何度か回り込むカメラ。時間軸の一方向性に抗うように、180度の間を行ったり来たりする。泣かすカメラじゃないですか。
もちろん、取ってつけたような単純な円環構造や反復とはとても呼べないただのシーンの繰り返しが台無しにしてる、せめて小松菜奈が1人で同ポジの中で歩くとこくらいの慎ましさが全編続いたらなあと思ってしまうけど…… 毎日同じ時間に通過する電車が「視界を遮るもの」として最大限に機能してるし、いいところたくさんある。小松菜奈の「また明日ね」、あれは完全に献身の一言で、自分には絶対できないことで羨ましい。日常の言葉が最大限の愛を持つという意味で、小津にすら接続されると馬鹿ながら思いました。好きな作品でした。敬意を評しての3!
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