真一

鬼談百景の真一のレビュー・感想・評価

鬼談百景(2015年製作の映画)
3.4
 幽霊👻が主人公を恨んで化けて出る「恨めしや~」タイプの作品🎬️は、わずか1本。なんの因果もない相手の前に幽霊👻が化けて出る「出合い頭」タイプの作品🎬️は、実に9本。オムニバス形式の本映画🎥に収納された10作品を、自分勝手な「幽霊基準」で整理したら、こんな感じになりました。いにしえの頃より日本🇯🇵の夜を盛り上げてきた「恨めしや~」型幽霊ですが、人間関係の希薄化という現代社会特有の環境になじめず、いよいよ絶滅危惧種🐨に指定されそうな気配です。

 本映画🎥に出てくる「恨めしや~」型幽霊👻は、第4話「一緒に見ていた」に登場する、首吊り自殺した彼女👩です。主人公の男性教諭👨は、見るからに孤独で内気な学校事務員の彼女👩をたぶらかし、一晩オモチャにして捨てます。とんでもないクソ男💩です。そんなクソ男💩ですが、心のどこかに罪悪感があり、その罪悪感が恐怖心😭と結び付いて霊👻を呼び込みます。「出合い頭」型幽霊が猛威を振るう中、伝統の「恨めしや~」の伝統芸能を誇示してくれた彼女さんに感謝です。私は「恨めしや~」型幽霊👻の、ヌルヌルと絡みつくような怖さが、大好きです。

 大した脈絡もなく幽霊が出現する「出合い頭」型の9作品のうち、わざわざ幽霊スポットに出向いて祟られるといった「好奇心が身を滅ぼす」系は5作品もあり、隆盛を極めています。①夜のドライブで長い黒髪の女を見てしまう「追いかけ」🚘️②転校生と禁断の怪談をしたら本当に出現してしまった「赤い女」🚺️③ラジオのつまみを回していたら謎の一人語りが聞こえてきた「空きチャンネル」📻️④若い先生が転勤先の夜の学校で謎の少女を深追いする「どこの子」👧⑤お墓で遊んでいた子どもたちが1人また1人と怪我して退場する「続きをしよう」🩸―の5本です。

 全くもって理不尽な形で幽霊👻と出会ってしまう「不条理」型の作品🎬️は①地方の民家のガラス戸を得体の知れない何かがバンバンと叩く「影男」🚹️②自殺した作業服姿の男が何度も現れる「尾けてくる」👤③マンション自室のクローゼットの扉の隙間から、女の霊が這い出してくる「密閉」☠️―の3作品です。特に③は、完全なる「もらい事故」。三浦透子さんのホラー演技が冴えており、これはこれで怖かったです。残る「どろぼう」は、噂話がもたらす偏見と先入観に基づく怪談でした。

 人間関係の希薄化は、これからも進むでしょう。親戚の集い、近所づきあいといったつながりはなくなり、増えるのはネット上の匿名コミュニケーションだけ。怪談のゆりかごとも言える「ドロドロとした情念の世界」が消え失せる日は、そう遠くないかも。人間👤と幽霊👻の出会いは全て、偶然が決める時代に入っていくのかもしれませんね。
真一

真一