りほ

エヴォリューションのりほのレビュー・感想・評価

エヴォリューション(2015年製作の映画)
4.5
ずっと観たかった。
やっと観れた。

これを観ようと思ったきっかけは、同監督の「エコール」のじっとりした雰囲気がかなり好きだったから。
女性監督が描く少女の園の話は、少女という存在の生々しさと、それらへの憧憬に近い感覚で、なんとも言えない後味だった。

一方こちらは少年たちと大人の女たちの、離島での生活の物語。
この物語には少女も、成人男性もでてこない。冒頭に描かれる日常のシーンは平穏なものなのに、そこに妙な引っ掛かりを感じながら物語は進んでいく。

作中、語りは非常に少なく、また核心について、なにか言葉で表現されることもない。
映像作品としてこれは秀逸だと思う。
結果としてこれはなんだったんだ、と感じたけれども、その薄気味悪さがこの作品の持ち味なのでしょう。

物語の根幹の部分で、おそらく読み解けるメッセージはあると思うのですが、それを吟味するのはまた次回かな。

初見はとにかく、海の描写が本当に美しくて、息をのみます。
それだけで私は見る価値があった。

エコールにせよ、本作にせよ、大人たちは「なにも知らない」のをいいことに、好きなように子どもたちを利用しているようにも見えて、またそれは、子どもからみたときの大人(そしてそこにこびりつく性)の怖さのようでもある。

よくわからない、でも生きている、これからも生きていく、という、思春期の世界を描いた作品なのかもしれない。
好きでした。
りほ

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