OASIS

死霊館 エンフィールド事件のOASISのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

実在した心霊研究家ウォーレン夫妻が体験した事件を描き大ヒットしたホラー映画「死霊館」の続編。
監督は前作に引き続き「SAW」等のジェイムズ・ワン。

怖すぎわろた。
5分に一回のペースで襲い来る幽霊さんの大盤振る舞いな心霊現象は、ホラーの域を超えてもはやアトラクション。
対象を瞬間移動させたり、噛み付いて来たりと、精神的そして物理的に追い詰めてくる霊の最強の敵感が最高だった。

1976年、アミティビルで起きた一家惨殺事件を調査していたウォーレン夫妻はマスコミの餌食になり隠遁生活を送っていた。
そして1977年、英国のエンフィールドに住むホジソン一家が住む屋敷でポルターガイスト現象が起き始めるが...。
開始からウォーレンの妻の霊視の世界で繰り広げられる惨殺の様子が映し出され早くも恐怖の世界に誘う。
画面の奥に存在する暗闇から漂う言い知れぬ不穏感、揺さぶられ右往左往し不明瞭になる視界等、キレのある演出によりダレることの無くテンションが持続する。
これでもかと襲い掛かる心霊現象のつるべ打ちに、もうお腹いっぱいでしばらくホラー映画はいいやという気分にすらなってしまう満足感。

シングルマザーのペギーと4人の子供達が暮らす屋敷の中で起こり始める不思議な現象。
一家の普段の様子を映しつつ、屋敷の構造や全景を捉えた丁寧かつスムーズなカメラワークが秀逸で、ショット一発で空間を認識・把握させる技が光る。
何者かが扉を叩く音、風に揺れるブランコ、そして夢遊病の様にベッドから下の階に移動している次女ジャネットの身体。
テントの中に吸い込まれていった車のオモチャが勢い良くカムバックして来る場面や「俺の家だ!」と老人の霊が突然テレビの裏から出て来る場面は椅子をガタンと揺らしてしまうほど驚いてしまった。

向かいに住むノッティンガム家に助けを求め避難するが、そこにも霊は着いて来る。
「これは警察の手に負えないな」とすごすごと帰って行く警察官達の頼りなさが笑えた。
一方、アミティビル事件を引きずったままのウォーレン夫妻の元にも不思議な現象が起き始める。
アミティビルで目撃した予知夢に出て来た女の霊が姿を現すが、絵を持ったまま突進して来る場面が冷静に見るとシュールでこれも笑えたりと、緊張の緩和によるユーモアも散りばめられていた。

霊現象が噂で広まりテレビの取材を受けたジャネットは、憑依されたかの様に全く別人の声を出し72歳のビル・ウィルキンスと名乗る。
果たしてジャネットの精神の病によるものなのか、それとも本当に霊によるものなのか?という疑心を生む構成が面白い。
ジャネットが自ら心霊現象を工作している様子がカメラに映ったかと思えば、それが人間を追い出す為の霊の策略だったりと、霊に翻弄される「人間の弱さ」というテーマも強調されていた。
本当の敵は悪魔であると判明してからの後半は、画面の派手さにより精神・物理攻撃問わずなんでもあり感が漂っていて、悪魔ヴァラクが名前を呼ばれただけであっさりと退散してしまうという不完全燃焼感も漂っていた。

2時間15分というホラー映画にしてはかなり長めの上映時間になっていて、後半になって来ると流石に老人の霊や白い顔の悪魔にも見慣れて来て恐怖が徐々に薄れて行くが、それでも「世間が背を向けたとしても信じる」事や「喪われた家族の絆や愛を修復させる」事に最終的に着地する構成は胸を打つ。
「霊や悪魔に打ち勝つのはいつだって家族愛である」という意外とロマンチストな部分を見せるジェイムズ・ワン監督によるホラー作品の安定感は並じゃなかった。

ジャネット役のマディソン・ウルフちゃんは幼い頃のクリスティナ・リッチや安達祐実を彷彿とさせる可愛さで「ホラー+美少女」の図式も外さない。
お姉ちゃんや二人の弟すらも可愛いらしくて、そりゃ悪魔も狙うわなと納得がいく映画でもあった。
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