すごいも

シング・ストリート 未来へのうたのすごいものレビュー・感想・評価

4.7
長男の僕はずっと歳上の兄弟が欲しかった。お姉さんのいる子はオシャレで、お兄さんのいる子は渋い漫画を知っている。次男、二女は先に生まれてきた兄弟の経験値がいくらか貰えて、つよくてニューゲームで人生をプレイできる、そんな偏見をもっていた。

歳下の家族はひょっとしてひょっとしてひょっとしてひょっとすると出来るかもしれないが逆は隠し子が発覚しない限りあり得ない。

本作のお兄ちゃんは優しくて音楽に詳しくて発言に説得力があるようなお兄ちゃんになってます。こんなお兄ちゃんが欲しかった。そして彼が影の主人公じゃないでしょうか。



「僕のバンドのMVに出ない?」


私立のおぼっちゃま学校に通ってた14歳の上品な男の子に照れながらこんな事に言われたら誰だってついてく。僕もついて行く。

主人公が口説き文句に使ったこのセリフですが、彼は家庭の事情によりタバコを吸ってるのがデフォルトの荒れまくり学校に転校したばかりで友達は1人。音楽の経験もありません。

唯一の友達と一緒にバンドのメンバーを探します。



熱い。上京を迷ってる方が観たらそのまま荷支度を始めてしまいそうな熱さ。深夜に家を抜け出して友達とCDを聴き曲を作る。キラキラした青春の理想像みたいなのをみせられて僕はウルウルです。羨ましい。

物語は熱さのピークで終ります。もう少し観たい気もしましたが程なくしてエンドロールの文章と結末のつながりとその意味を理解し、最高の終わり方だったと気づきます。

OKAMOTO'Sのハマくんも今年1番の映画と推すほどの名作。
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