きょうもテレビのまえ

シング・ストリート 未来へのうたのきょうもテレビのまえのレビュー・感想・評価

3.8
ダブリンに住む少年達がバンドを組む話と聞けばどうしたって『ザ ・コミットメンツ』と比較してしまうが、年上のヒロインに憧れる少年の音楽モノという点で、どちらかというとキャメロン・クロウ監督の『あの頃ペニーレインと』に近い気がする。監督の半自伝的作品という意味でも(どちらも名作なのでいずれにせよ分は悪いが)。
甘すぎるほどの青さがちょっと鼻につくものの、監督の撮るヒロインの表情にはハッとするものがあるし、劇中に出てくるミュージックビデオもなかなか楽しい。デュラン・デュランをはじめとする80年代音楽も最高。
それよりもサブストーリーで展開される兄との関係を描いた家族の物語が良かった。おそらくジョン・カーニー監督が語りたかった半自伝というのはこちらなのだろう。お兄さん役のジャック・レイナーという役者さん良かったなあ。

それにしても、どの作品でも「仕事が無く、若者が将来に全く期待を持てない街」として描かれるダブリンって、いったいどんな所なんだろう? 首長さんがいささか気の毒ではある。